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お料理Q&A

スイッチオンで、強火で加熱が始まるIH(電磁調理器)についての基礎知識

IH(電磁調理器)以外の熱源(ガスコンロ、ハロゲンヒーター、セラミックヒーター、シーズヒーター、ラジエントヒーター等)は、全て熱源自体が発熱する熱源です。
しかしIHはこれらとは全く異なり、IH上のフライパンや鍋を発熱させる装置です。IH自体は全く発熱いたしません。ですからIHは従来の熱源とは全く次元が異なる装置だという認識が必要です。今後、IHに対する正確な知識が無いことが原因で、今後いろいろと問題が発生することが予測されますので、基本的なことを理解しておく必要があります。
IHのガラス状トッププレートのすぐ下に設置された「ドーナツ状に巻かれた銅線コイル」に高周波電流(約20~23khz)を流すと磁力線が発生します。この磁力線の中に鉄系金属のフライパンや鍋を置くと、フライパンや鍋の底面のコイルに対応するドーナツ状の範囲に無数の「うず電流」が発生します。フライパンや鍋に使用されている鉄系金属には電気抵抗があるので、フライパンや鍋の底面の、IHのドーナツ状コイルに対応する同じドーナツ状部分だけが発熱します(ノイマンの法則)
これが今日のIH(電磁調理器)の発熱の仕組みです。
フライパンや鍋の底面のドーナツ状部分だけが極めて急速に熱くなりますので、この部分の鉄系金属はその熱で必ず膨張します。最もIHで効率良く発熱するのは「鉄」「有磁性ステンレス(SUS430)」といわれていますが、鉄あるいは鉄系金属だけで作られた1枚もののフライパンや鍋の場合、底面のドーナツ状部分だけが急激な温度上昇によって膨張する結果、使っているうちに底面が必ず変形してきます。 但しこの場合、フライパンや鍋の底面が変形する以外のことは全く発生いたしません。
しかしIH自体は発熱しないのですから、IHが持つ問題点はIH側には現れず、IHの上で使われるフライパンや鍋の底面に「変形」といった形で現れるのです。
電化を進め過ぎることにも疑問を感じますが、ハロゲンヒーター、シーズヒーター、セラミックヒーター、ラジエントヒーターまでで止めておけば、底面の変形の可能性について心配する必要など殆どありません。
以上で十分にご理解いただけたと思います。
このようなIH(電磁調理器)をどのように使ったら、フライパンや鍋の底面が変形・剥離しにくくなるのでしょうか。そして上手に使いこなすにはどうしたら良いのでしょうか。

「IHを上手に使いこなすポイント」

今現在、お客様が使用されているIHの中には、フライパンまたは鍋を乗せてスイッチをオンにすると、自動的に[強]になり、極めて急激にフライパンや鍋の底面のドーナツ状部分を発熱させる「初期型のIH」もあるかと思います。
この場合は、スイッチをオンにし、[強]になったらすぐに手動で[弱]にし、ゆっくりと適切な調理温度まで上げて行くと、極端に底面の変形は減ります。
また、今日のお客様の中には、フッ素樹脂コーティングのフライパンしか使ったことがない方も多いので、正しい調理温度についての知識や感覚が全くない場合も想定されます。そのようなお客様は、適切な調理温度よりも相当に高い温度で「炒める・焼く」といった調理を行っている場合が多いように、私たちは感じています。本当はこれでは美味しくないし、健康にも良くありません。「美味しくて健康に良いフライパン調理」は、適切な調理温度が非常に大切です。
では適切な正しい調理温度というのは、それぞれ何度くらいなのでしょうか。 「焼く・炒める」料理を美味しく調理する最適の温度は、170度~180度までです。 糖分がキャラメル化して良い香りを発生するのも、油が「ディープフライフレーバー」という油独特の良い香りを発生するのも、そして蛋白質と糖分、あるいはアミノ酸と糖分が一緒にある時にアミノカルボニル反応という化学反応を起こして大変良い香りを発生させるメラノイジンという物質が出来るのも、全て170度~180度と いう温度領域で起きます。この三つが美味しい「焼く、炒める」料理の基本条件です。 200度を超える温度での調理では、糖分はコゲて炭のように真っ黒になるし、油もコゲるだけでなく、どんどん痛んで行き健康にも良くありません。
「揚げ物」料理を美味しく調理する最適の温度は、一般家庭の場合は150度~180度と考えておくのが妥当であると思います。 「衣は脱水、中身の具は蒸す」というのが揚げ物調理なので、技術が確かならばもう少し高い温度での調理も可能ですが、ここは無理をしない方が良いと思います。
「卵焼き」をコゲ目なく、上手に仕上げる温度は、約150度と考えるのが妥当でしょう。170度より高い温度になると確実にコゲ目が着きます。
つまり高温で「焼く、炒める、揚げる」の上限が180度、低温が150度なのです。この狭い温度領域内で正しく火加減をしながら調理する必要があるということです。
さてIHでこの適切な調理温度を実現するためにはどうしたら良いのでしょうか。 一つはお客様が自分の感覚と知識を頼りにして、自分でIHを操作するという方法です。今日でもこの方法で正確にコントロールしている方は勿論沢山いらっしゃいます。
昔の日本の家庭の主婦は、熱源が薪、石炭、炭、ガスでも、当然のように正確に火加減しながら調理していました。 今一つは、IHに「鍋料理モード」「フライパン料理モード」「揚げ物料理モード」といったマイコンを組み込まれている場合です。細かい温度操作はお客様が行うとしても、それぞれの調理方法に伴う予熱、上限温度、下限温度についてはマイコンでコントロールされます。
こうすることで、フライパンや鍋の底面の変形が激減するだけでなく、お客様のIHでの調理のレベルが飛躍的に向上します。